重清信夫さん

Posted at 08/03/20 Comment(0)» Trackback(0)»

いちご農家 重清信夫さん


●関西弁同士

山口県防府市にあるイチゴを育てるビニールハウス群。
その一角に、重清さんのビニールハウスがありました。


重清さんのいちご畑

現在、就農5年目、私と同じ関西出身の重清さん。
同じイントネーションに親近感がわきました。


●イチゴを下から見たことがありますか?

まずは重清さんのちょっと変わった栽培方法をご紹介します。

重清さんは「高設イチゴ栽培 カネコ ココベリー方式」といって、
イチゴを地面ではなく、ココナッツを砕いたものを腰ぐらいの高さに
設置して、イチゴを栽培する方式を採っています。
肥料は、液体の肥料を流して与えます。

これだと作業する高さが腰より上ぐらいなので、作業が楽で、
一般的な土で栽培するよりも効率が2~3倍違うそうです。
イチゴが高い位置にある光景に少し違和感を覚えつつも、
普段と違う視点でイチゴを見れておもしろかったです。


高設栽培のイチゴ

●「ほなやったるでー」!転機は転勤

元は都会でサラリーマンをされていた重清さん。

ある時、転勤で山口にきて、都会よりも自然が身近にあるのと、
道路が整備されていて 生活に不便を感じなかったことから、
田舎と農業に興味を覚え、「定年後に農業でもできたらなぁ」と
思ったそうです。

その後、転勤で再び都会に帰り、ある就農フェアーに参加したとき、
「農業をやるなら若いうちがいい」というアドバイザーの言葉に
火がつき、「ほなやったるでー」と決心しました。
就農フェアーを受けてから1年以内に会社を退職し、
山口県にIターンしました。

そして2年間の農業研修をうけ、ついに就農するに至りました。


●自然が相手

就農して2年目のこと。

農業は自然が相手。
その恐ろしさを知る出来事がありました。

大型の台風が重清さんのハウスを直撃し、育てていたイチゴが
大損害をうけました。

これからどうしよう・・
無残にボロボロになったビニールハウスを見て、放心状態に
なったとき、近所の方、知り合いの方が復旧の手伝いにきてくれて、
なんとか持ち直すことができました。

「あのときは本当に周りのみなさんのおかげで、持ち直せました。
あの時のことは忘れません」と、
今も人とのつながりに感謝されています。

その感謝の気持ちを形で返すために、他所から来たものとして、
また地域の人に支えられてきたという思いから、
近くの障害者施設の方の雇用の受け口にもされていて、
一緒に働かれています。

来年には、敷地内に障害者の方のビニールハウスを作る予定で、
それも技術的なサポートをしていく予定です。

「そういう形で地元に貢献したい」と、感謝の気持ちを形に、
実行されています。


重清信夫さん

●自然が相手

「どんな時が農業をしていて一番うれしいですか?」と聞いてみました。

重清さん曰く・・

「おいしい」「甘い!」と言って貰うのはうれしい。
だけど、自分はプロ。
おいしいイチゴ、甘いイチゴは当たり前のようにつくらなければ
いけない。
だから、もう一つ嬉しい時は、市場で自分のイチゴに高い値段が
ついたり、評価された時がうれしい!
とのこと。

今の所得はサラリーマン時代の半分になり、休みもなく、収入も
不安定ですが、まったく苦痛じゃない、と重清さん

天気や生き物が相手の農業なので、まったくの不安がないかというと
そうではないと思いますが、重清さんからは余裕のオーラを感じました。

この数時間の取材では語りきれない、
お金以上の喜びや楽しさを見つけられたのではないでしょうか。


●受け入れ

同じ農業をする者は、ある意味協力者であり、ライバル。
同業者同士、あまり手の内を明かさないこともあるそうです。

しかし、重清さんは「やる気がある人があれば、隠し事せずに
なんでも教えます」と懐が広いです。
それは自分もいろんな人に支えられてやってきたから、という気持ちから。

イチゴを売っていく上でも、スケールメリットが出したいので、
特にイチゴをつくって共同で出荷できる仲間がほしいそうです。

今も近くのスーパーでは重清さんのイチゴが売られていますが、
更に売り込みをかけていきたいと意欲的です。

また、グリーンツーリズムなどの農業体験や農家民泊については、
普段の農作業が忙しいのと、小さいお子さんがいるためで、
受け入れは厳しいそうですが、今年からは中学生の就労体験も
スタートの予定で、他に農業研修の受け入れもされています。


●もったいないイチゴ

重清さんのところでは、規格外のイチゴはジャムにしたり、
加工品のイチゴとして出荷します。
そのためもったいないイチゴはでないそうです。

また、今後はイチゴをそのまま売るだけではなく、付加価値をつけるため、
イチゴジャムなどに加工して販売することも始めたいといいます。

そのかわりに、イチゴに関するもったいないを教えてもらいました。

普通、イチゴを食べるときは、イチゴの先から食べます。
しかし、イチゴは先の方が一番甘く、ヘタの方がすっぱいです。

イチゴの先から食べると、すっぱいヘタの方を残してしまいますよね?
これだと、もったいない。

だから、いつもとは逆に、まず葉っぱをとって、ヘタから食べると、
最後に甘い先の方を食べるので、甘さが口に残っておいしい!
これだと先まで全部食べるのでもったいなくない、というわけです。

実際に食べさせていただきました。
重清さんのイチゴはほんとうにみずみずししくて、おいしかったです。
水分が口からこぼれそうでした。幸せです。


重清さんのイチゴ

重清さんは、「自分のところのイチゴがおいしいんじゃなくて、
取れたてやからね」と 謙遜されましたが、きっと愛情を注いで、
きっちり管理、研究されているからだと思いました。
きっと一般的な食べ方をしてもおいしいはずです!


●メッセージ

脱サラして就農された重清さん。
問題に対しては、どうすれば解決するか?ということを考え、
行動されてきました。
その対策が功を奏したときは、うれしいといいます。
そうやって5年間やってこられた成果で、技術力は向上し、
収益もUPしているそうです。


ハウスの中

今後は更に農地拡大したいと意欲的です。
収入はサラリーマン時代の半分になったとおっしゃいますが、
生き生きとされています。

もしあのままサラリーマンをされていたら、どうなっていただろうか・・・
それは誰にもわかりません。

しかし、就労体験や農業研修の受け入れ、地域との交流、障害者の方の
雇用創出など、重清さんがそこで就農されて、
自分だけじゃなく周りの人のために行動をおこされたからこそ、
何かが始まり、誰かの笑顔が生まれました。
そしてこれから、もっとその輪が広がる可能性も秘めています。

僕はそれこそが、その人にしかできない個性的な生き方であり、
これからの地域に必要な存在なのだなぁと思いました。

「今の若い人には挑戦してほしい」と重清さん。
そんな重清さんを見ていて、挑戦せずにはいられません。



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