山本弘三さん
Posted at 08/03/24 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»

みかん農家 山本弘三さん
●冒頭
瀬戸内海に面し、潮風が当たる一年を通して太陽がさんさんと降り注ぐ大島。
ここでつくられるみかんは、山口県内でも有名です。
この大島に、みかんを品種改良して一味違ったみかんを栽培して、
みかん農家さんから一目置かれるみかん農家・山本弘三さんがいます。
今回、みかんに対する思いや就農までのエピソードなど聞かせていただきました。
●就農まで
今はみかんの栽培で有名な山本さんですが、ずっと農業をされてきたわけでは
ありません。
京都の大学を卒業後、京都でサラリーマンをしていた山本さんはあるとき、
上司と同僚が和歌山まで釣りに行くのについていきました。
大島出身で、釣りなんて小さいは、好きなだけやっていたため、
釣りのどこがいいのか・・?と思いながらの参加でした。
それがやってみたら、これが面白い!
同じようなタイミングで、会社での研究がひと段落し、岡山への異動の話がありました。
それならば・・と思い、サラリーマンをやめ、海が近くにあり、釣りが思い存分にできる
大島の実家で、家業のみかん農家を継ぐことにしました。
もちろん、それから30歳までは、釣り三昧でした。
みかんをきちんと作るには4~5年かかる。実際にやってみてそう思いました。
そのころから柑橘に興味を持ち始めました。
大学での専攻は理学。研究心に火がついてのではないでしょうか。
ここから山本さん流のみかんつくりが、本格的に始まります。
●規模
現在は3町歩の畑で柑橘類を作っています。
主力はみかんで、そのほかにはネーブルや南津海(なつみ)、ヒョウカン、ユーポン、
スダチ、カボス、酢ダイダイなど、山本さんご自身が作られたチラシには約14種類の
柑橘が載っています。
これら柑橘の管理を、基本的には1人で、収穫の忙しい時期には、みかんサポーターと
呼ばれる、主にシニア世代が中心で、島内外から来られる助っ人の方々に、
年間で約70~80人ほど来ていただいています。
その収穫した柑橘を半分は市場に、残り半分は顧客に宅急便で送る直接販売や、
山口県内の道の駅で販売しています。
●楽しい、うれしい、つらい
現在の悩みを聞いてみました。
やはり、みかんの値段が安定しないこと。
みかんはどこでもできる。ということは量がとれる。でも消費が一定ということは、
たくさん取れれば、それだけ販売する価格が下がります。
せっせと1年間かけてみかんなどを作っても、赤字ならやりきれない・・・
といってあきらめる山本さんではなく、上述したように、みかん以外に、いろいろな
品種の柑橘を生産・販売し経営の安定化を図り、経営を成り立たせています。
たとえばヒョウカン。グレープフルーツの仲間で、実は昔からあった柑橘ですが、
なぜか誰も栽培していませんでした。それを山本さんが発見。
ある農業雑誌に掲載すると、問い合わせがいくつかありました。
ほかにはイヨカンとポンカンの子ども・ユーポンがあります。イヨカンとポンカンの
子どもなら「イヨポンだろう!?」となるところですが、それじゃあヒネリがなくて
つまらない、ということで、山本さんが勝手に呼んでいるそうです。
山本さんの遊び心が伝わってきます。
嬉しいときは、やはり、おいしいものができて、お客様に、「おいしい!」と言って
もらえることです。
スーパーでお客様に買っていただいても、お客様からは、「ありがとう」と言われる
ことはありませんよね?
しかし、不思議なことで直接販売で買ってくださったお客様からは、買っていただいた後、
「おいしかったわ。ありがとう」と、電話をいただくことがあるそうです。
更に、近所の野菜やお菓子など、何か贈り物を送ってきてくださる
お客様もいるのだとか。
こんな風に、お客様の喜びが直接伝わるのが直売の良さですね。
●農家も経営をしなくてはいけない
大半のみかん農家さんは、1種類の柑橘をつくり、市場に出荷しています。
それだと市場価格に影響されすぎて、成り立たなくなるといいます。
昔は、農家さんは作るところまでやって、市場に売って売ることは、他の人に任せて
いました。でもそれだけでは成り立たなくなってきた。そういう時代になったといいます。
山本さんも、みかん栽培だけではなく、商品開発もされています。
例えばフルーツをフリーズドライにした入浴剤。レモンをスライスし、フリーズドライにします。
お風呂に入れると元の形にもどり、すごくよい香りがするそうです。
日本のジャムはブルーベリーかイチゴジャム、ピーナッツバターなど限られた
種類のものが主流で、大瓶でそれらのジャムを買っても、すぐに食べ飽きてしまいます。
そこで、山本さんが作っている柑橘を、同じ大島のジャム屋さんで加工してもらい、
商品化しました。現在みかん、ユーポン、柿、ネーブルなど10種類あります。
さらに、飽きがこないように小瓶も5種類も作りました。
山本さんのジャムの特徴は、普通ならちょっと悪くなった果物をジャムにしますが、
本当によいものをジャムにすることと、砂糖を保存料にして余計なものを混ぜない
ところです。山本さんのこだわりがわかります。 他にもおいしいジュースつくりにも
挑戦する予定です。
将来ああしたい、こうしたい、そのために今こうしている・・・。
山本さんのところにお話を伺いに行くと、いつも楽しそうに話してくださいます。
遊び心や経営を楽しむ心が伝わってきて、私まで楽しくなってきました。
これも、山本さんが人をひきつける魅力の一つだと私は思います。
●メッセージ、感想
「食べ物をつくることは、生きることの根本。今の日本のような豊かな時代では、
おいしいものを食べることが幸せ。 余計なものを混ぜなくて、安心しておいしいものを
提供する。食べてもらった人に本当に喜んでもらえるのがうれしい」
売ることだけではなく、人とのつながりも大切にされ、食べる人のことも真剣に考えて
いらっしゃる山本さん。だからこそ、その思いが伝わり、山本さんのファンがたくさん
いらっしゃるのではないかと思いました。また、私もその存在にほっとしました。
続けるのは簡単ではなく、これからも決して楽ではないと思われる農業。
しかし、生産から販売、加工まで手がけ、作った喜び、買ってもらった喜びを味わえ、
自分を表現できる-農業は、そんな魅力的な分野になるのではないかと、
山本さんのお話を伺っていて思い、また一つこれからの農業の魅力を発見しました。
ありがとうございました!

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