田中省治さん

Posted at 10/04/23 Comment(0)» Trackback(0)»

米農家 田中省治さん


●元敏腕販売員

今回は、名田島地区のお米農家さん、田中省治さんを取材させていただきました。
田中さん元々、地元の山口で車の販売員をされており、当時は表彰されて本社のあるドイツにも行かれたことがある程で、取材をさせていただいた応接室にもその当時の盾が誇らしく輝いていました。
農業を始められたきっかけは、定年後に地元の農家さんが亡くなられた際、共同で買った機械の維持をするためだったそうです。
最初の頃こそ片手間でやっている面もあったそうですが、今は本気で農業に取り組んでおられ、日々の実践と研究に余念がありません。



●様々な取り組みと実践

取材中、「自分は名田島地区でも最先端」と豪語されていた田中さん。
しかし、その言葉を裏付けるほどの取り組みを実践され、農業への考え方や視点も相応のものでした。
まず、新聞や雑誌などで気になったものがあれば、ファイリングして蓄積しておられ、応接室の棚には新聞や雑誌の切り抜きのファイルがずらっと並べられていました。
また、全国各地へ視察にも回り、他地域の取り組みや新たな作物を探したりといったこともよくされます。
他にも、海外の農業や経済の状況にも詳しく、「日本の安心、安全で高品質な農作物を逆に海外の消費地に輸出してみてはどうか」という構想もお話しいただきました。
そうした一方で、「栽培にかかるコストを減らす」「農家として生き残る」という目的は常に念頭に置かれ、そのために様々な取り組みを実践されています。
オススメの一品としてご紹介いただいたのは、黒米でしたが、これもそうした取り組みの一つです。
黒米とは古代米の一種で、アントシアニンという色素や、ビタミン、ミネラル類が含まれており、視力の増強や、滋養強壮に良いと言われています。
また、黒米はそのまま出荷するだけではなく、かき餅、黒米茶などへの加工にも挑戦されています。
黒米茶は少し飲ませていただきましたが、甘くてお餅のような味がする、不思議な飲み心地がし、黒米のかき餅は濃い紫の色が見た目にも鮮やかで、焼いた後の固めの食感がとても良いものになっていました。

田んぼ
田中さんの田んぼ

●田中さんと第6次産業

今回の農家取材では、学生耕作隊が取り組む山口での第6次産業への呼びかけも行っていましたが、実は、田中さんと第6次産業にはとても深い縁がありました。
そもそも、田中さんが第6次産業というものに出会ったのは、仕事でドイツに行かれた時でした。
その際に泊まったホテルでは、畑、牧場、ホテルを家族で経営され、畑で採れた農作物を提供することはもちろん、牧場の牛の牛乳を使ったチーズをチーズ蔵で貯蔵したり、アイスクリームにしたり、豚肉を腸詰にしてソーセージを作ったりしていました。
そこはまさに、第6次産業を実践している場所だったのです。
しかし、実際にそうした第6次産業を実現させるまでにどれくらいかかったのか、と聞いてみると、なんと、70年近くもかかったと言われたそうです。
そのホテルでの経験は田中さんの中で大きな印象を残し、「第6次産業を実現させるのが夢」とさえ言われるほどにまでなりました。

ほうれん草畑
タマネギやニンニクが植えられた田中さんの畑

●農家としての生き残り

取材終えてみて感じた田中さんの印象は、「農業者であり、探究者であり、経営者」というものでした。
確かに、日本の農業の状況は決して楽観的なものではありませんし、大きな変革の時期に差し掛かって揺れてもいます。
田中さんはそのことを敏感に感じ取り、既存のやり方に捉われず、生き残るための方法を模索し、そのために何でも試してみることを実践されています。
それも、ちゃんとした経営の感覚に裏打ちされてもいます。
「自分ももう70歳を過ぎて、焦りもある」と言われていますが、まだまだお元気に、夢を追求されてください!

エンドウマメ
元気に育っているエンドウマメ

(2009年度取材)

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