椛沢和子さんは3年前に知り合った八戸のりんご農家の方です。八戸市で開催された地域間交流推進講演会に講師としてに招かれた際にはじめてお会いしました。その日は主催者の方に八戸の海の幸とおいしいお酒をご馳走になり、農村に入るならお酒のつきあいは大事と言えど、飲みすぎて二日酔いになりながら、次の日、9月だったのでりんごのもぎ取りをさせていただいたり、ぬかるみにはまって動けなくなった軽トラをみんなで協力して押して泥だらけになったりと、楽しい時間を過ごさせていただきました。
九戸インターでお会いしたのですが、いきなり山盛りのりんごのプレゼント。(わお、超嬉しい!)このりんご、蔵出しりんごと椛沢さんが命名して、売り出しています。というのは、今、どこの農家にも保管用冷蔵庫があり、冷蔵庫で冷やしたりんごがさも素晴らしいかのように宣伝されているそうなのですが、椛沢さんはそこに疑問を持ちました。昔ながらのやり方で、電気を使わなくとも十分おいしいりんごが保てるそうです。
「冷涼な外気を少しずつ取り入れながら、自然なままに息をする北国の蔵。その中にそっと寝かせたもぎたてのりんご。りんごは静かに呼吸を続け、おいしいりんごに仕上がります。北国の香り、蔵出しりんごをぜひご賞味ください。」
こういうメッセージが添えてあります。また、りんごを乾燥して干した干しりんご、これも昔ながらのおやつだったのが、廃れていたのを再復活。便秘にもよいそうで、人気の商品です。古きよきものが再評価されています。素朴な味わい、自然の色。かめばかむほどりんごの甘みが出てきます。
便利になった今の世の中の価値基準を決して鵜呑みにせず、自分の価値基準で、人と人とのふれあい、自然の声を何より大事にされています。
椛沢さんの「あんちゃん」の根市勲さんもご一緒でした。青森は南部町で長距離運送の会社の社長をされています。東北独特のなまりが聞きづらくも、とってもあたたかい。
「おれの今年のテーマはハート。ハートとハートが大事なんだ。昔、名主という地域を束ねる人がいた。今、みんな平等ということになって、秩序が崩れてきたように思う。いい大学、いい会社、それがいいと、みんな子供を外に出してしまった。その結果、みんなサラリーマン化し、頭脳が流出して名主役、百姓のリーダーががいなくなった。」
その言葉は、競争社会であるのに、今の平等、中央集中の体制に問題を投げかける問いだったように思います。みんな一緒では生き残れない。特に農村は。
郷土を愛する心なんて、学校で勉強したからって育つもんじゃありません。地域の人たちが伝えることが、教育の受け皿が今、必要になっているのでしょう。郷土にある資源を見直し、活用し、誇りを持ち・・・。そこから郷土への愛が芽生え、名主が復活するのではないでしょうか。