
自信と誇りについて言うと、印象的な出会いがあった。山形県金山町でのことだ。田舎で楽しく暮らす原動力になっている人に、私が、「地域活性化のために人とお金が都市から田舎に流れる仕組みを具体的につくりたいんです」と話すと、「お金のためにやっているわけではない」と雪深い山あいの村であっけらかんと言われたことがある。そこは、13戸ほどの小さな村。心豊かに生きるために、農林業を手がけ、その楽しさを、都会の人におすそわけしようと、体験の受入をしている。村のみなが、都会からきた人に暮らしをうらやましがられている。かえでから取れるメープルや日本一の値がつくたらの芽栽培など、成果も自然に出てきて、村人はみな自信と誇りを持ち、将来への希望につながっているという。女性も元気だ。彼女たちの楽しみの一つに、たらの芽栽培の利益で行く海外旅行なんかもあるという。みんなで楽しく遊ぶという目標が、やる気に一層の拍車をかけている。若い後継者も10人いる。「大切なのは自信と誇りだ。人が入ればお金はあとからついてくるもんだ」と言われ、私はうなずいた。人とお金を地域に、という打算的な話をはじめに持っていった自分が恥ずかしくなった。それは手段に過ぎない。そして、そう、経済性、効率化の追求が、戦後、日本の経済成長を推し進め、今の日本を築いてきたが、田舎の原理にはそぐわない。田舎の原理は、自然のリズムに合わせること、脈々と受け継がれてきた文化を大切にすること、環境を大事にすること、遊びを大事にすることだと私は考えている。しかし、結果、農山漁村は切り捨てられて荒廃した。資本主義経済中心の日本では、競争はますます激しくなり、今後、都市と地方の格差は広がるばかりだ。しかし、都市のマネではない、田舎だからこそできる暮らしが、地方にはある。田舎だからこそできる豊かな暮らしを営む人が増えることが、地域の再生につながる。
キャラバンは、地域の再生をつなげる役割を果たしていると思う。キャラバンは、協力したいという方々が集まり、「持ち寄りのキャラバン」になってきた。選定事業者の1つである学生耕作隊の呼びかけに応えて、千葉県で起業支援、障害者の自立支援を行っている27歳の若き社長が事務局をボランティアで引き受けてくれたことに始まり、キャンピングカーは、立ち上がる農山漁村ネットワーク準備会に加わってくれた島根県温泉津の旅館吉田屋の26歳女将が協力して買ってくれた。描いてある絵は、マンガ家を目指す20歳の若き女性が描いてくれた。各地から、キャラバンに協力したい、参加したい、という声が集まるようになり、4月に入って九州キャラバンが始まったが、環境ビジネスを営む福岡の27歳社長が、自社で力を入れているBDFを燃料に、学生たちと共にこれまたボランティアで回ってくれた。協力の申し出は続々と続く、自立的な持ち寄りキャラバンへと成長している。
こういったネットワーク化は、公共的な仕事だと思うが、政府の予算はハナからあてにしていない。だって、地域の再生をつなげるキャラバンは楽しく、「自立」「楽しい」ということが、これからの地域の再生に不可欠なのだから。