食彩工房たてやまは富山県立山町にあります。米消費拡大運動の推進と産品開発のために、地域に古くから伝承されてきたかきもち(寒餅)、漬物(雷鳥漬)や正月のかがみ餅など地域で取れる農作物を使って特色ある加工品開発、販売に取り組んでいます。
女性だけのグループで、今は18人が社員として働いています。
・寒餅
立山権現寒餅のことを紹介します。特産品の寒餅は立山から吹き降ろす自然の風で乾燥された一枚一枚手作りの寒餅です。この寒餅を干す様子はこの地域の冬の風物詩で、寒餅を干す時期になるとその様子を写真に取りに来る方もよくいるそうです。写真を見せてもらったのですが、一枚一枚きれいにひもで結んでつるされている色とりどりの寒餅は部屋に飾っておきたいくらいに綺麗でした。
実は寒餅にとってこの干す作業がとても大切なのです。干すときの気温、湿度、風通し、餅の水分など全てがそろわないとカビが生えたり、乾きすぎてぼろぼろひび割れたり曲がったりします。このときのナイーブな寒餅にぴったり合った地域が北陸地方、その中でも立山は最高の環境なのです。
寒餅のためのお餅は寒の入りにつきます。そのもち米の量はなんと120俵。これまでは個人から買い取っていましたが、今はそれだけではまかないきれず営農組合から買った米も使うようになりました。
もともとは道の駅のイベントで売ってみたらとても人気があり、面白いように売れたそうです。これはいいぞということになり寒餅に目をつけ開発が始まりました。今ではエビやくちなし、古代米、昆布、よもぎなど色々な種類が作られています。見ているだけでも楽しくなるような、とても綺麗な色をしています。
・女性たちの生活はどのように変化したのでしょうか
やはり農家の主婦だった方も多く、忙しい家の仕事の合間をぬってグループの仕事に参加することは家族の理解を得ることや時間のやりくりが難しかったようです。続けられずにやめていってしまった人もたくさんいるそうです。
しかしそんな中で続けてこられた人たち、取材に行ったときに働いていた方たちはみんな本当に楽しそうでした。私たちがお邪魔したとき、ちょうど漬物にする冬瓜の仕込み作業中で、事務所の裏からは楽しそうな話し声や笑い声がわいわい聞こえてきました。
・その中の一人にお話をうかがいました。
嫁に来てからずっと農家の主婦で会社に勤めたことがないので、今こうして自分で稼げるのはとても楽しみなことだそうです。孫にも小遣いをあげることが出来ます。
忙しいときにもお客さんに喜んでもらうためにがんばってやり遂げたときなんかは達成感があってとてもうれしいそうです。忙しくて朝四時に集まって仕事をしたり、大変なこともよくありますが、みんなでやるからこそできることで、一人なら絶対できないです。と話していました。この話の間もニコニコととても活き活きしていて話を聞いているこちらまでうれしくなってしまいました。
・これから
ここでも食育をとても重視して、小学生の寒餅作り体験学習などを行っているそうです。今の子供たちにも地域の伝統的なものの良さを伝えて、彼らが大人になってからも自分の故郷のものに愛着を持っていてもらえるとうれしいです。外国から新しい食べ物がたくさん入って来たりして、食の選択肢が増えました。毎日何を食べようか、作ろうか考えることだけでも私にとっては一つの楽しみになるくらいに色々なものがあります。地域に昔から伝わっているものもそのなかの一つとして大切に残していきたいですね。長い間消えることなく伝わってきた大切な文化だと思います。
(取材日:2007年9月26日)