実際、栽培は大変です。できるだけ農薬を使いたくないですから、除草剤を撒かずにいましたが、来る日も来る日も暇を見つけては草刈りの日々。昔、田んぼだったので、雨が降ればぬかるみます。4反の面積。最初は草刈機でやっていましたが、ミニバイクを横に広げたような、乗用型の草刈りカーがあると、隣の田んぼの人に教えてもらい、使ってみるものの、慣れていないので、はまって押したり引いたりしたことも1度や2度ではありません。スピードスプレイヤー(SS)という農薬散布機がありますが、畑の真ん中で止まって、困り果てて、草刈りカーで牽引して畑の外まで出して調べてみると、ただのガス欠だったり...。
台風も来て、それは何とかしのぎましたが、例年なら通り過ぎるだけのイノシシが、今年は防風ネットをくぐってやってきた様子。ある時行ってみると、せっかくかけた袋が何枚かまとまって落ちているのです。風が強かったのかな、おかしいなぁと思っていましたが、次に行ってみると、袋の落ちている範囲が広がり、足場がイノシシの足跡とも鼻跡ともいえる形跡でぐちゃぐちゃに。よく見れば、ぶどうにかじった跡があったりして、むしゃむしゃ食べているんだ!ということがわかりました。
そんないろんなハプニングを乗り越えながら、ぶどうはおいしく甘く育ちました。いよいよ収穫、と準備を進めていたところ、ぶどう園の元園主のおじいちゃんがお亡くなりになったことを知りました。びっくりして、すぐに、ご霊前にはじめて収穫したぶどうをもって、お悔やみとご報告にうかがいました。いいぶどうができましたね、ぶどうのことをとても気にかけていたので、父も報われます、とご家族の方から言っていただきました。おじいちゃんは、ぶどうを前に、額の中からものすごい笑顔で笑いかけてくれました。天国で、ぶどうを、甘いのうと自慢しながら食べてくださったのではないでしょうか。心からご冥福をお祈り申し上げます。