■その3・作る人が正当に評価される農業を
私が滞在していたスウェーデンのJarna地区には農場ごとに直売できるスペースがあった。そこでとれたての野菜を買う。色鮮やかで、普段大手スーパーで見るものよりも凛とした野菜が並んでいる。そして売上は仲介業者なしで直接農家に入る。買う人も新鮮な野菜が手に入る。この当たり前のことを広げていかなければ、農家は作った分の苦労を正当に評価されない、と改めて感じる。
日本は物価が高いとよく言われるが、確かに都市部のスーパーですべて食材を揃えるとびっくりするような値段になることもある。だからといって、作り手である農家に行き届くお金は決して高くない。スーパーで売られている値段の約17%しか生産者である農家には行かず、あとはすべて物流やスーパーなどに利益が行っている、という。ある時、講演で「マイクロトマト」というミニトマトよりもはるかに小粒なのにしっかり味がするトマトが、私の住む近くのスーパーでは1,200円で売られているという話をしたところ、農家さんたちは自分たちの出荷している額との差に愕然としていた光景が今でも忘れられない。
価格だけではない。便利さや効率を追求するあまりに、作り手の想いや姿が消費者に届く頃にはインパクトもありがたみも薄らいでしまうのはあまりに悲しい。買う人がどれだけ喜んで味わっているかを農家も直接肌で感じなければ、モチベーションも上がらないだろう。ささやかながら作り手と買い手を直接結ぶ対面販売できる機会を私も作っていきたい、最近その想いがますます強くなってきた。
先月行った岩手県では、10年続けているアグリビジネス講座を受けた女性の担い手がすでに300人を超しているという。単に情報交換の場を作るのではなくて、次のステップへ行動を起こそう!と担当の普及員さんに話を持ちかけた。近所の直売所販売の次は、都会での直接販売。自費で東京に乗り込む覚悟がある有志のお母さんを集め、恵比寿の第3世界ショップ直営店「アサンテサーナ」で第3土曜日に恒例となっている「あさ市」でまずは売ってみよう!と、普及員さんらが企画し始めた。新たなプロジェクトが動き出しそうな機運で、今から楽しみだ。
スウェーデン・Jarnaの農家が直接販売。1個いくらというものもあるが、グラムを測って売るものが多い